◇◇◇NYACの理念と方向性について◇◇◇

図面を描いた事が無い、今後も描く事は無いと思っている方は、現場や元請会社、あるいは直接御施主様との打合せで、施工の納まりをフリーハンドで描いた事は無いですか。きっとあるはずです。もし今までなかったとしても今後、口頭で説明するのでは不十分な時が絶対に来るはずです。そのような場合、基本ができている人、すなわち施工図の描ける人と、施工図を描いた事も無い人の差というのは、はっきりと出てくるものです。線を引く事ひとつにおいても違ってくるものです。

また、CADを使っている方、まだ使ってないがこれからの時代は手書きの図面ではなくCADで描けばいいとお考えの方、基本ができていないのに正確な図面が描けるでしょうか。これも同様に、基本のしっかりできている人と、自己流で基本の無い人との違いは歴然としています
"基本を身に付ける"ということにおいて、この競技大会は、まさに絶好の機会であると言えます。
IT化された今の時代に、なぜ建築士の国家試験が未だに手書きで行われているのかを考えてみてください。機械に頼るのではなく、一人の人間の実力で勝ち得るものが資格であり、そのように修得したからこそ、今後の仕事に役立つのではないでしょうか。

建築士は図面を描くのが仕事で、私達は図面に応じた施工をするのが仕事である。などと言っている時代はもう過去の話です。今、私達がすべき仕事は、もっと広い視野で観察し、他より先に見つけ出し、御客様に満足していただく答えを出す事だと思います。
図面を描くと言う事は、私達の業界では、営業能力・交渉能力・信頼性・将来性・自己表現など、いろいろな面においても自分自身のスキルアップになるはずです。必要となった時に始めるのでなく、必要となった時には実行できなければ、今の厳しい時代には、取り残されてしまいます。
今の我々の業界においては、求められた事をする"実行力"だけでなく、自分が無いものを作り上げていく"行動力"が必要となっているのではないでしょうか。

御客様(施主・元請業者)に、建築士の描いた図面ではなく、施工業者の描く図面であるからこそ価値があるのだと、解らせたいではないですか。
他の選手の作品を見て今後の仕事の上に役立たせるいい機会として、図面を描いた事が無い方こそ、この競技大会に参加する価値があるのではないのでしょうか。
この厳しい時代を乗り越えていく手段のひとつとして、競技大会に参加して、自分の視野を広げ、自分を磨き、新しい自分を創りましょう。

原文:全板連青年部 副部長 尾崎昌行(04-09掲載)

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